Classici giapponesi con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate
蓆蓋を除けて見ると垢臭い。随分多勢はいったと見える。省作は取りあえずはいる。はいって見れば臭味もそれほどでなく、ちょうど頃合の温かさで、しばらくつかっているとうっとりして頭が空になる。おとよさんの事もちょっと忘れる。雨が少し強くなってきたのか、椎の葉に雨の音が聞こえてしずくの落つるが闇に響いて寂しい。座敷の方の話し声がよく聞こえてきた。省作は頭の後ろを桶の縁へつけ目をつぶって温まりながら、座敷の話に耳をそばだてる。やっぱりそのごやごやした話し声の中からおとよさんの声を聞き出そうとするような心も、頭のどこかに働いている。声はたしかに五郎兵衛婆さんだ。
「そら金公の嬶がさ、昨日大狂言をやったちでねいか」
「どこで、金公と夫婦げんかか、珍しくもねいや」
「ところが昨日のはよっぽどおもしろかったてよ」
「あの津辺の定公ち親分の寺でね。落合の藪の中でさ、大博打ができたんだよ。よせばえいのん金公も仲間になったのさ。それをだれが教えたか嬶に教えたから、嬶がそれ火のようになってあばれこんだとさ」
「うん博打場へかえ」
「そうよ、嬶のおこるのも無理はねいだよ、婆さん。今年は豊作というにさ。