Classici giapponesi con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate
「おとよさんほしいというか、嬶にいいつけてやるど、やあいやあい」
で話はおしまいになる。おはまが帰って一々省作に話して聞かせる。そんな次第だから省作は奥へ引っ込んでて、夜でなけりゃ外へ出ない。隣の人たちにもどうも工合が悪い。おはまばかり以前にも増して一生懸命に同情しているけれど、向うが身上がえいというので、仕度にも婚礼にも少なからぬ費用を投じたにかかわらず、四月といられないで出て来た。それも身から出た錆というような始末だから一層兄夫婦に対して肩身が狭い。自分ばかりでなく母までが肩身狭がっている。平生ごく人のよい省作のことゆえ、兄夫婦もそれほどつらく当たるわけではないが、省作自ら気が引けて小さくなっている。のっそり坊も、もうのっそりしていられない。省作もようやく人生の苦労ということを知りそめた。
深田の方でも娘が意外の未練に引かされて、今一度親類の者を迎えにやろうかとの評議があったけれど、女親なる人がとても駄目だからと言い切って、話はいよいよ離別と決定してしまった。
上総は春が早い。人の見る所にも見ない所にも梅は盛りである。菜の花も咲きかけ、麦の青みも繁りかけてきた、この頃の天気続き、毎日長閑な日和である。