Classici giapponesi con furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Leggi 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.999 caratteri · 67 schermate
そういえば真佐子にしろ金魚にしろ、あのぽっかり眼を開いて、いつも朝の寝起きのような無防禦の顔つきには、どこか現実を下目に見くだして、超人的に批判している諷刺的な平明がマスクしているのではないか……。復一はまたしても真佐子に遇いたくて堪らなくなった。
浪の音がやや高くなって、中天に冴えて来た月光を含む水煙がほの白く立ち籠めかかった湖面に一艘の船の影が宙釣りのように浮び出して来た。艫の音が聞えるから夢ではない。近寄って艫を漕ぐ女の姿が見えて来た。いよいよ近く漕ぎ寄って来た。片手を挙げて髪のほつれを掻き上げる仕草が見える。途端に振り上げた顔を月光で検める。秀江だ。復一は見るべからざるものを見まいとするように、急いで眼を瞑った。
女の船の舳は復一のボートの腹を擦った。
「あら、寝てらっしゃるの」
「………」
「寝てんの?」
漕ぎ寄せた女は、しばらく息を詰めて復一のその寝顔を見守っていた。
「うちの船が二三艘帰って来て、あなたが一人でもくもくへ月見にモーターで入らしってるというのよ。だから押しかけて来たわ」
「それはいい。僕は君にとても会いたかった」
女は突然愛想よく云われたのでそれをかえって皮肉にとった。