Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんぽうさいき

金鳳釵記

田中 貢太郎

Leggi 金鳳釵記 (きんぽうさいき) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6167 caratteri · 13 schermate

Aozora Bunko

「拾ってあります、すぐ追っ駈けて往って、お渡ししようとしましたが、御門が締りましたから、朝お届けしようと思いまして、持っております」

興哥は卓の傍へ往って釵を取ろうとした。慶娘は引き添うように随いて往って、興哥が釵を持って振り返った時には、二人の体はぴったり並んでいた。

「あなた」

釵を持って興哥の手首に慶娘は白い細そりした両手をかけた。興哥は当惑してしまった。

「お嬢さん、甚だなんでございますが、私はお父さんに大恩がございます、もしお父さんに、こうしている処を見られましたなら、申しわけのないことになります、どうか放してください」

興哥は俯向いたなりに言った。ふわりとした慶娘の手は放れなかった。

「私はお父さんに大恩があります、どうか私のために帰ってください」

「帰りませんよ、わたしをここへ連れてきたのは何人です、あなたじゃありませんか、わたしは帰りませんよ」

慶娘は不意に大きな声をしながら、興哥の手首を握った手に力を入れた。興哥はこんな声が聞えては大変だと思った。

「困りますよ、そんなことをおっしゃっては、お父さんの耳へ入ったら、大変じゃありませんか」

「でも、あなたが連れてきたのじゃありませんか、連れてきといて、帰れとはひどいじゃありませんか」