Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.907 caratteri · 32 schermate
――「八丁堀合点長屋店人釘抜藤吉捕物覚書」という題で遺っている、大福帳のような体裁の、半紙を長く二つ折りにした横綴じの写本である。筆者は不明だが、釘抜藤吉の事件帖である。その筆初め「のの字の刀痕のこと」の項に、親分藤吉の人物と名声をこう説明してあるのだ。それは以前、藤吉第一話のなかに書いたことだが、いまこうして、もう一度くり返しておくことも、あながち無駄ではあるまい。
大声を上げて飛び込んで来たのは、町火消しに組の頭常吉だった。
竹片を突き刺して、火の通りをよくしていた勘弁勘次は、その竹を焚火のなかへ投げすてて、びっくり、腰を伸ばした。
「なんでえ。でっけえ声をしやがって――おお頭じゃあねえか。てえへんとは大いに変ると書く。めったに大変などと言うめえぞ。勘弁ならねえ。」
「勘さんか、」とに組は肩で呼吸をして、「や、偉えことになった。大鍋のお美野さんがお前――。」
言いかけたとき、立てつけの悪い藤吉方の格子戸を内部からがたぴし開けて、なんともいいようのない不思議な、眠そうな声が、水を撒くように冷たく、低く聞えて来た。
「かんかんのう、きうのれす、きうはきうれんれん、にいくわんさん、いんぴんたいたい、しいくわんさん……。