Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.625 caratteri · 26 schermate

Aozora Bunko

」味噌松は上手におみつの声色を聞かせた後、「で、わっしゃあすぐと蔵へ取って帰したが、お神はなかなか出て来ねえんで。日和を突っかけて姿を見せるまでに、なんだか、莫迦に台所をがたがた言わせていやしたよ。」

藤吉は唾を呑んだ。そして、おみつに向き直った。

「旦那は昨夜寄合いかね?」

「いえ、あの、」とおみつは顳を押えて、「母さんのことでお組長屋前の親類まで行ってくるが空が怪しいから足駄だけ出せと言って、暮れ六つ打つと間もなくお出かけになりました。」

「そうそう、婆さまの生死も知れねえうちにまたこの仕末だ。ばつの悪い時あ悪いもんでのう。」

藤吉は優しく言った。湿やかな空気が流れた。

おみつの話はこうだった。

親戚へ行った主人は五つ半過ぎても帰らない。母親の失踪以来相談に更けて泊り込んでくることも珍しくないので、昨夜も別に気に留めずに、独り床を敷いて横になった。が、どういうものか寝就かれず、時の鐘を数えているうちに雨になった模様。ああ、今夜はとうとう帰らないな、もしまた出て来ても彼家なら傘も貸せば人も付けてくれるはず――こう思うとそれが安心になってか、それから、今朝味噌松に起されるまでおみつはぐっすり眠ったという。