Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.319 caratteri · 29 schermate
おりんお滝は山中火、山は土の埋高き形、言い換えれば坤だ。土だ。火はすなわち烈しき心。破り毀なう物の陽気盛んなれど、水の配あらばたちまち陰々として衰え、その状さながら恨むに似たりと。
土と木と水――土中に木があって水がある、いや、水があるところに火がある、激しい遺恨が残っている――土中に柘榴の材が張渡って、水のあるべきところに水がないとは?――井戸、古井戸!
門から西南の土に古井戸があろう。その底に女の気がする、酉年生れの女の星が飛去り得ずして迷っている!
「家の内には井の神――おう、惑信!」夕闇のなかで藤吉は小膝を打った。「だが待てよ、あの高札が惑信の本尊じゃあねえかな。と、彼札あ誰が建てた? それに、それに、この御呪文は女筆だぞ。ううむ、恨むか、燃えるか、執念の業火だ、いや、こりゃあいかさま無理もねえて。」
日北上の極とはいえ、涼風とともに物怪の立つ黄昏時、呼吸するたびに揺れでもするか、薬師縁日の風鈴が早や秋の夜風を偲ばせて、軒の端高く消ぬがにも鳴る。
置物のように藤吉は動かなかった。心の迷いか五臓の疲れか、人っ子一人いないはずの仏壇の前に当ってざざっと畳を擦る音がする。