Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9874 caratteri · 20 schermate
そのある日、湯島の方へ用達に行った帰途を近江屋の前へ差しかかったのが、八丁堀に朱総を預る合点長屋の釘抜藤吉、いきなり横合から飛び出して藍微塵の袖を掴んだのは、言わずと知れたお茶漬音頭で時めくお艶、
「あれ見しゃんせ。この近江屋さんは妾の店でござんす――。」
言いかけたお艶の顔を、藤吉は笠を撥ね上げてじいっと見据えた。と、どうしたものかお艶は後を濁して藤吉の袖を放すと、折柄来かかったお店者らしい一人へ歩を寄せて、
「あれ、見しゃんせ――。」
と始めたが、このことあって以来、藤吉親分はお艶の狂気ぶりへそれとなく眼を光らせるようになって行った。
あれから旬日、その間に勘弁勘次に葬式彦兵衛の二人の乾児が尾けたり巻かれたり叩いたり、洗えるだけのことは洗って来たが、今宵の名月を機に今度こそは居所なりと突き留めようと、さてこそ、彦兵衛が奥の手は「お後嗅ぎ嗅ぎ」流の忍びの尾行となったのだった。
明けを急ぐか、夏の夜は早く更ける。お茶漬音頭の流しも消えて、どこかの軒に入れ忘れた風鈴が鳴るころ、河を距てた寝呆け稲荷の方に当ってけんとん売りの呼び声が微風に靡いていた。
「親分え――お、勘兄哥もか。