Classici giapponesi con furigana
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すずきもんど
鈴木主水
久生 十蘭
Leggi 鈴木主水 (すずきもんど) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.827 caratteri · 26 schermate
たびたびの前例によって、いちどお家が乱れだしたら、どう手をつくしても、一家離散にまで行きつくことを知っているからである。所詮は、愚痴と悪念が修羅の大猛火を燃やす魔界の現出なのであって、条理もなければ理非もない。いわんや人情などの通じる世界ではない。火中に栗を拾う譬で、なまじっかなことをすれば、怪我をするだけではすまない。主水にどのような目途があるとしても、まずまず成功は覚束ないように思われた。
萩の花むらを見ている静かな主水の横顔を、伝内はわきからながめていたが、主水の今日の身仕舞に軽薄なほど派手な気味合のあることに気がついた。
薄小袖の紋服に茶宇の袴は毎日の出仕の身装だが、袖口から薄紅梅色の下着の端がのぞきだしているのが異様である。見れば芝居者のように月代を広くあけ、髷は針打にして細身につくり、なにか馬鹿げたざまになっている。一度もなかったことなので、どういう心の傾きなのか、そのほうを先に聞いてみたくなった。
「今夜は、後のお月見があるそうだ」
「さようでございます」
「思いもかけない仕合せだったな」
「仕合せとは、なにが」
「野呂勘兵衛が小栗美作を討つため、日雲閣へ斬りこんだのも、やはり月見の宴の折だったそうな。