Classici giapponesi con furigana
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ぎんさんじゅうまい
銀三十枚
国枝 史郎
Leggi 銀三十枚 (ぎんさんじゅうまい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.863 caratteri · 73 schermate
そうして一方手を尽くして、貨幣の持主を探したのだ。そうして彼女を目つけ出したのだ。……浮雲い浮雲い彼女は浮雲い!」
私の心は動揺した。
「国際的詐欺師の佐伯氏でさえ、容易に殺した人間だ。彼女を殺すぐらい何でもなかろう」
ポッと私の眼の前に、彼女の死骸が浮かんで来た。
「これはうっちゃっては置かれない」
私は急いで下宿を出た。俥に乗って駈け付けた。公園を横切り町へ出た。
彼女の家へ駈け込んだ。
彼女は書斎に腰かけていた。彼女の顔は蒼白であった。銀三十枚が卓の上にあった。
私はツカツカと入って行った。
フッと彼女は眼を上げた。ゾッとするような眼付きであった。
「もう不可ない」と私は云った。
「返しておしまい! 返しておしまい!」
「売りましょう! 売りましょう! 白金を!」
ひっ叩くように彼女は云った。
「持っていなければいいのだわ」
彼女はフラフラと書斎を出た。電話を掛ける声がした。
貴金属商へでも掛けるのだろう。
彼女は書斎へ帰って来た。私と向かって腰を掛けた。だが一言も云わなかった。時々ギリギリと歯軋りをした。
貴金属商の遣って来たのは、それから一時間の後であった。