Classici giapponesi con furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Leggi 銀座復興 他三篇 (いさん) di 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.579 caratteri · 82 schermate
おときはそれが嬉しかった。格子の外に出て、鋪石の上に靴の音が聞えたが、新吉は又戻って来た。
「あの初茸だの湿地茸ねえ、随分沢山あるから御寺の人にも分けてやろうじゃあないか。くにから来たものですって。」
わざわざ云いに来て、おときのうなずくのを見て行った。
夕方新吉は、
「ああ今日程忙しい事はなかった。すっかり疲れて御腹も減ってしまった。初茸御飯が待遠しいな。」
靴を脱ぐ間もそんな事を云っていたが、そう直ぐとはいかないときくと、手拭をさげて湯に出かけた。
めっきり日脚も短くなり、かなり遠い湯屋から帰って来る道では、湯上でも肌寒く感じるようになった。昼間仕事のたてこんだために、すっかりくたびれたのが、湯に入って一層空腹を感じた。宵闇の中を歩きながら、塒に騒ぐ鳥の声を聞いて、この季節に著しく感じる澄んだ寂しさが腹の底まで沁みるのを知った。うちのあかりの障子に映るのを見た時は、新吉の心は喜びに震えるようだった。
あったかい初茸飯の湯気の立つのをふうふう吹きながら、故郷の秋のあわただしく暮れて、早い初雪が来て冬籠の季節となる頃を、涙ぐましい程なつかしく思い出した。