Classici giapponesi con furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Leggi 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.745 caratteri · 216 schermate
それから図面を調べ出した。江戸市中の図面である。
それから彼は暇にまかせて江戸市中を歩き廻った。
今夜のことご他言無用、もし他言なされる時は御身のためよろしくござらぬと、痩せた老人に注意されたのを、その翌日他愛なく破り、一切紋太郎にぶちまけたので、その祟りが来たのでもあろうか、(いや、そうでもないらしいが)とにかく専斎の身の上に一つの喜悲劇が起こったのはそれから間もなくのことであった。
その日、専斎は六歌仙のうち、手に残った黒主の軸を床の間へかけて眺めていた。
「うむ、いつ見ても悪くはないな。それにしても惜しいのはお菊に盗まれた小野小町だ」
いつも思う事をその時も思い、飽かず画面に見入っていた。もうその時は点燈頃で、部屋の中は暗かったが、彼は故意と火を呼ばず、黄昏の微光の射し込む中でいつまでも坐って眺めていた。
と、あろう事かあるまい事か、彼の眼の前で大友黒主が、次第に薄れて行くではないか。
「おやおや変だぞ。これはおかしい」
驚いて見ているそのうちに黒主の絵は全く消え似ても似つかぬ異形の人物が朦朧とその後へ現われたが、よく見ればこれぞ貧乏神で、ニタリと一つ気味悪く笑うとスルスルと画面から抜け出した。