Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

Leggi 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.745 caratteri · 216 schermate

Aozora Bunko

血煙り立てて斃れたか! 非ず、そこに横たわっていた老人の死骸へ躓いて頬冠りの男は転がったのである。

「まだか!」と武士は気を焦ち右剣を延ばして切り下ろした、溺れる者は藁をも握む。紙一枚の際どい隙に金剛力を手に集め寝ながら抱き起こした老人の死骸。すなわち楯となったのである。

「えい、邪魔だ!」

と足を上げ武士は死骸をポンと蹴る。二つばかり転がったが、ゴロゴロと河岸の石崖伝い河の中へ落ちて行った。パッと立つ水煙り。底へ沈むらしい水の音。……その間に男は起き上がると二間余りも飛び退ったが、手には印籠を握っている。倒れながら拾った印籠である。

その時であったが水の上から欠伸する声が聞こえて来た。続いて吹殻を払う煙管の音。驚いた武士が首を延ばして河の中を見下ろすと、苫船が一隻纜っている。とその苫が少し引かれて半身を現わした一人の船頭。じっと水面を隙かしているのは老人の死骸を探すらしい。

とたんに寒月が雲を割り蒼茫たる月光が流れたが、二人はハッと顔を見合わせた。船頭の頬には夜目にも著く古い太刀傷が印されている。

三

寛永といえば三代将軍徳川家光の治世であったが、この頃三人の高名の賊が江戸市中を徘徊した。