Classici giapponesi con furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Leggi 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.745 caratteri · 216 schermate
植え込みの中で啼いていると見えて鶯の声が聞こえて来る。若鶯と見え声が若い。
と、三右衛門は溜息をした。それからこんなことをいい出した。
「高価なものでございましょうな。その喜撰のお掛け物は」
「お父上からゆずられたものだ。無論高価に相違ない」――飽かず画面に眼を注ぎながら紋太郎は上の空でいった。
「何程のお値打ちがございましょうな?」
「専斎殿の鑑定によれは、捨て売りにしても五十両。好事家などに譲るとすれば百両の値打ちはあるそうだ」
「百両……」と呟いて三右衛門はホッと吐息をしたものである。
尾行の主は?
「これはな」と紋太郎は云いつづけた。「もと六枚あったものだ。いつの時代にかそれが割れて――つまり持ち主が売ったのでもあろうよ。チリヂリバラバラになってしまった。それをどうして手に入れられたものかお父上が一枚手に入れられた。それがこの喜撰法師だ。ところが隣家の専斎殿はそれを二枚も持っておられる。もっとも昨夜の盗難でその一枚を失われたが、失われぬ前のご自慢と来てはそれはそれは大したものであったよ」
しかしそんな説明は三右衛門は聞いてはいなかった。考えに沈んでいたのであった。