Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.029 caratteri · 82 schermate
「どれ、俺に見せろ」
平次は縁側に飛上ると、八五郎に代って踏台の上に立ちました。覗くとなるほど、欄間の上は綺麗に拭き込まれて、人間の這い出した跡などは、一間半の間に痕跡も残っては居なかったのです。
「八、帰ろう」
「へエ、何処へ行くんで」
「明神下の俺の家へ帰って、一日ゆっくり考えよう。俺アどうも判らない事ばかりだ」
「へエ」
「ここは誰かに任せて、お前も一緒に来い――それからお半の葬いはなるべく早く出させるがいい」
平次は何を考えたか踵を廻して、そのまま帰ろうとするのです。こうなるとガラッ八の八五郎は、黙ってその後に従って行く外はありません。
「あ、お前は文三郎といったね」
店先にしょんぼり立っている少年に平次は注意を払いました。
「…………」
黙って挙げた顔は、恐怖とも羞恥とも、いいようのない不思議な表情です。
「少し訊きたいことがあるが」
平次が往来に出ると、少年文三郎は黙ってその後に従いました。
「お前はお半をどう思う」
前後に人のいないのを見ると、平次はこう問いかけるのです。
「あの人は悪い人でした、親分」
「でも、お前の母親は、確かに病気で死んでいるよ――お寺へあんな手紙を出したのはお前だろう」