Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
斯う云う仰でございました」
と云って首を上げるのを見るとさっき光君の時障子をあけた女で有る。立とうとすると物ずきな兄君は、
「どうもごくろう、よくわかりました。さて御前は大層やさしい声を御もちだが、どこの御生れかな」
わざとこえをかえてしかつめらしくきくと若い女はたまらなそうに笑いこけながら、
「マア殿さまハ、何を仰せあそばすかと思えば、私なんかはもうもうお山のおくのおく、山猿といっしょに産湯をつかったのでございますもの」
割合にはっきりした言葉で返事をする。
「するとその可愛らしい声も山猿の御伝授をうけたと云わるるわけだな。さだめし月のある谷川で叫ばれただろうし日のてる木の枝でもなかれただろうな」
又前と同じ調子で有る。
「さようでございますとも仰のとおりに暮しましたので色はこの通りまっくろかおはこのようにみにくうなったのでございます。もうごめんあそばして」
女は口がるにこんなことを云って几帳のかげに行ってからおされるように笑って居る。光君はそれどころのさわぎではない。つきとばされたような心持でじっと自分の着物のあやを見て居られる。はしゃぎきった兄君は光君の背をポンと一つ叩いて、