Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
くらい灯のかげに坐った光君は、
「まるで獣のような女だ! だれがたのまれたってあんな女を、
人を馬鹿にして居る、私は自分の胸の中に保って居る彼の美くしい貴い人まで馬鹿にされたような気がする」
などとげきして居たが心がしずまるとともに、今日の行っても紫の君のこなかったこと又いくら文をやっても錦木をたてても何のかえしさえして呉れない美くしい人のことを思ってかぐわしい香の香にひたりながらふるえるようなさみしさとかなしさに涙をながして居た。くらい灯にそむいて白い頬になみだをながして居る光君の姿は常にもまして美くしいあわれなもので有った。
かゝる夜をなく虫あらば情なき 君も見さめて物思やせん
かなしみのはてに□□しみおぼろげの 死てふ言葉にほゝ笑みぬ我
こんなことを小声に云いながらたえられないように自分の胸をしっかりとだいて香の煙の消えて行く方に心をうばわれて居る。
(四)
此頃の光君の様子はまるで病んで居るようで朝から晩まで被衣をかぶって居られる。どうかして気をまぎらせたいと僧を呼んでお経をよませたり自分でよんだりして居られたけれ共有難い御経の文句も若君の心はなぐさめる事が出来なかった。