Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くにさだえがく

鏡花短篇集 川村二郎編

泉 鏡花

Leggi 鏡花短篇集 川村二郎編 (くにさだえがく) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.644 caratteri · 40 schermate

Aozora Bunko

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いや、実際六、七歳ぐらいの時に覚えている。母親の雛を思うと、遥かに竜宮の、幻のような気がしてならぬ。

ふる郷も、山の彼方に遠い。

いずれ、金目のものではあるまいけれども、紅糸で底を結えた手遊の猪口や、金米糖の壷一つも、馬で抱き、駕籠で抱えて、長い旅路を江戸から持って行ったと思えば、千代紙の小箱に入った南京砂も、雛の前では紅玉である、緑珠である、皆敷妙の玉である。

北の国の三月は、まだ雪が消えないから、節句は四月にしたらしい。冬籠の窓が開いて、軒、廂の雪がこいが除れると、北風に轟々と鳴通した荒海の浪の響も、春風の音にかわって、梅、桜、椿、山吹、桃も李も一斉に開いて、女たちの眉、唇、裾八口の色も皆花のように、はらりと咲く。羽子も手鞠もこの頃から。で、追羽子の音、手鞠の音、唄の声々。

……ついて落いて、裁形、袖形、御手に、蝶や……花。……

かかる折から、柳、桜、緋桃の小路を、麗かな日に徐と通る、と霞を彩る日光の裡に、何処ともなく雛の影、人形の影がう、……

朧夜には裳の紅、袖の萌黄が、色に出て遊ぶであろう。

――もうお雛様がお急ぎ。

と細い段の緋毛氈。