Classici giapponesi con furigana
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ながさきのいんしょう
長崎の印象
宮本 百合子
Leggi 長崎の印象 (ながさきのいんしょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.996 caratteri · 28 schermate
「どちらでもいいのです。――拝観出来れば……」
すると、爺さんは名刺をそのまま私にかえしながらいった。
「拝観なら、儂でええ、今、葬式で誰もいなさらん。そこの右の方から入って見なさい。柵の中へさえ入らんけりゃどこでも見なすってええ」
「――勝手に拝見してもわかりますか」
「儂はな、もう年よりで病気だから、行ってもええが説明は出来んの、ここが苦しいから」
彼は胸のところを抑えて見せた。
「――ただ見るだけ……」
折角来たのに失望も感じたが、爺さんの眼付と言葉は朴直を極め、強いてそれ以上何と云う余地もない。
私共は左に花壇のある石段を登り、日本信徒発見記念のマリヤ像の立っている正面玄関の右手扉を云われた通りに押して見た。開かない。ぐるりと裏に廻ると別に入口があり、ここは易々と開いたが、司祭の控室らしく、白い祭服のかかっている衣裳棚などがある。第一、塵もない木の床を下駄で歩いては悪そうだし、困って私は彼方此方を見渡廻した。樟の木蔭に、附属家屋のペンキを剥して、職人が一人働いている。私はその男に尋ね、灌木の茂みをわけて通じる石段を更に半丁ばかり登った。頂上で土地が展け、中央に十字架の基督像を繞って花壇がある。