Classici giapponesi con furigana
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かいひいちようちょう
開扉一妖帖
泉 鏡花
Leggi 開扉一妖帖 (かいひいちようちょう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.898 caratteri · 40 schermate
ええ、だもんだから、腹がすけば、ぼろ撥一挺なくっても口三味線で門附けをしかねない図々しい度胸なのが、すたすたもので、町も、村も、ただ人気のない処と遁げましたわ、知らぬ他国の奥州くんだり、東西も弁えない、心細い、畷道。赤い月は、野末に一つ、あるけれど、もと末も分らない、雲を落ちた水のような畝った道を、とぼついて、堪らなくなって――辻堂へ、路傍の芒を分けても、手に露もかかりません。いきれの強い残暑のみぎり。
まあ、のめり込んだ御堂の中に、月にぼやっと菅笠ほどの影が出来て、大きな梟――また、あっちの森にも、こっちの林にも鳴いていました――その梟が、顱巻をしたような、それですよ。……祭った怪しい、御本体は。――
この私だから度胸を据えて、褌が紅でないばかり、おかめが背負ったように、のめっていますと、(姉さん一緒においで。――)そういって、堂のわきの茂りの中から、大方、在方の枝道を伝って出たと見えます。うす青い縞の浴衣だか単衣だか、へこ帯のちょい結びで、頬被をしたのが、菅笠をね、被らずに、お前さん、背中へ掛けて、小さな風呂敷包みがその下にあるらしい……から脛の色の白いのが素足に草鞋ばきで、竹の杖を身軽について、すっと出て来てさ、お前さん。