Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かいひいちようちょう

開扉一妖帖

泉 鏡花

Leggi 開扉一妖帖 (かいひいちようちょう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.898 caratteri · 40 schermate

Aozora Bunko

」

お妻は、踊の棒に手をかけたが、

「……実は、夜食をとりはぐって、こっちも腹がすいて堪らない。堂にお供物の赤飯でもありはしないか、とそう思って覗いて、お前を見たんだ、女じゃ食われない、食いもしようが可哀相だ、といって笑うのが、まだ三十前、いいえ二十六七とも見える若い人。もう少し辛抱おしと、話しながら四五町、土橋を渡って、榎と柳で暗くなると、家があります。その取着らしいのの表戸を、きしきし、その若い人がやるけれど、開きますまい、あきません。その時さ、お前さんちょっと捜して、藁すべを一本見つけて。」

お妻は懐紙の坊さん(その言に従う)を一人、指につまんでいった。あと連は、掌の中に、こそこそ縮まる。

「それでね、あなた、そら、かなの、※形の、その字の上を、まるいように、ひょいと結んで、(お開け、お開け。)と言いますとね。」

信也氏はその顔を瞻って、黙然として聞いたというのである。

「――苦もなく開いたわ。お前さん、中は土間で、腰掛なんか、台があって……一膳めし屋というのが、腰障子の字にも見えるほど、黒い森を、柳すかしに、青く、くぐって、月あかりが、水で一漉し漉したように映ります。