Classici giapponesi con furigana
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ちんじょうしょ
陳情書
西尾 正
Leggi 陳情書 (ちんじょうしょ) di 西尾 正 (にしおただし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.750 caratteri · 38 schermate
閣下の部下は、閣下は、我が日本国の捜査機関は、一人の殺人犯を見逃してそれで恬然と行い済ませて居られるのでありましょうか? 私は私の苦しい心情を、殺人犯で有り乍ら其の罪を罰せられないと云う苦しさを、閣下に直接知って戴いた上其の罪に服し度いとの希望を以て此度斯うして筆を取った次第であります。一個の文化の民として、罪を犯し乍ら其の罰を受けないと云うのは、如何許り苦しい事でありましょうか?――。是は其の者に成って見なければ判らない煩悶でありましょう。何よりも私は世間の者より狂人扱いにされる事が堪らなく苦痛なのでありまして、此の儘此の苦痛が果し無く続くものであるならば、いっそ首でも縊って我と我が命を断つに如かないと屡々思い詰めた事でありました。私が何故一人の女を、私自身の妻房枝を殺さなければならなかったか?――。其の理由を真先に述べるよりも、私が初めて妻の行動に疑惑を抱いた一夜の出来事から書きつづる事に致しましょう。※(始め二重括弧、1-2-54)斯く申し上げれば閣下は「お前の女房は焼け死んだのではないか」と反駁なさるかも知れませんが、私は他ならぬ其の誤謬を正し私と共々此の不気味な問題を考えて頂き度いのでありますから、短気を起さずと何卒先を読んで下さいまし。