Classici giapponesi con furigana
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かげろうざ
陽炎座
泉 鏡花
Leggi 陽炎座 (かげろうざ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.381 caratteri · 67 schermate
「あれ、」
と見向く、と朱鷺色に白の透しの乙女椿がほつりと一輪。
熟と視たが、狭い座敷で袖が届く、女房は、くの字に身を開いて、色のうつるよう掌に据えて俯向いた。
隙間もる冷い風。
「ああ、四辻がざわざわする、お葬式が行くんですよ。」
と前掛の片膝、障子へ片手。
「二階の欄干から見る奴があるものか。見送るなら門へお出な。」
「止しましょう、おもいの種だから……」
と胸を抱いて、
「この一輪は蔭ながら、お手向けになったわね。」と、鼻紙へ密と置くと、冷い風に淡い紅……女心はかくやらむ。
窓の障子に薄日が映した。
「じゃ死のうという短刀で怪我でもして、病院へ入ったのかい。」
「いいえ、それはもう、家中で要害が厳重よ。寝る時分には、切れものという切れものは、そっくり一つ所へ蔵って、錠をおろして、兄さんがその鍵を握って寝たんだっていうんですもの。」
「ははあ、重役の忰に奉って、手繰りつく出世の蔓、お大事なもんですからな。……会社でも鍵を預る男だろう。あの娘の兄と云えば、まだ若かろうに何の真似だい。」
「お稲ちゃんは、またそんなでいて、しくしく泣き暮らしてでも、お在だったかと思うと、そうじゃないの……精々裁縫をするんですって。