Classici giapponesi con furigana
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ずいひつなん
随筆難
寺田 寅彦
Leggi 随筆難 (ずいひつなん) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4381 caratteri · 9 schermate
は知名の文士の誰々の種の出所をちゃんと知っている、と云ったようなことを書きならべ、貴下の随筆も必ず何か種の出所があるだろうというようなことを婉曲に諷した後に、急に方向を一転して自分の生活の刻下の窮状を描写し、つまりは若干の助力に預りたいという結論に到達しているのであった。筆跡もなかなか立派だし文章も達者である。こんな手紙よりもその人の多年の探訪生活の記録をかかせたらきっと面白いであろうと思われた。それはとにかくこの人の云う通り、自分なども五十年来書物から人間から自然からこそこそ盗み集めた種に少しばかり尾鰭をつけて全部自分で発明したか、母の胎内から持って生れて来たような顔をして書いているのは全くの事実なのである。
人から咎められなくても自分でも気が咎めるのは、一度どこかで書いたような事をもう一度別の随筆の中で書かなければ工合の悪いようなはめになった時である。尤もそれ自身では同じ事柄でも前後の関係がちがって来ればその内容もまたちがった意義をもって来ることは可能であるが、そういう場合でも同じ読者が見ればきっと「またか」と思うに相違ない。
現に自分でも他人の書いたものを読んでいてそういう場合に出逢うとやはりちょっとそんな気がするようである。