Classici giapponesi con furigana
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おんぼうぼり
隠亡堀
国枝 史郎
Leggi 隠亡堀 (おんぼうぼり) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4455 caratteri · 10 schermate
一
「伊右衛門さん、久しぶりで」
こう云ったのは直助であった。
今の商売は鰻掻であった。
昔の商売は薬売であった。
一名直助権兵衛とも呼ばれた。
「うん、暫く逢わなかったな」
こう云ったのは伊右衛門であった。
昔は塩谷家の家来であった。
今は無禄の浪人であった。
「考えて見りゃあお前さんは、私に執っちゃあ敵だね」
一向敵でも無さそうに、にやにや笑い乍ら直助は言った。
「洒落かい、それとも無駄なのか」伊右衛門には興味も無さそうであった。「洒落にしちゃあ恐ろしい不味い。無駄にしちゃあ……いかにも無駄だ」
「でもね伊右衛門さん、そうじゃあ無いか。私の女房の姉というのは、四谷左門の娘お岩、その左門とお岩とを、お前さんは文字通り殺したんだからね」
「そうとも文字通り殺したよ。お岩を呉れろと云った所、左門奴頑固に断わったからな。それで簡単に叩っ切ったのさ」
「でも何うしてお岩さん迄?」
「うん、増花が出来たからよ」
「伊藤喜兵衛のお嬢さんが、惚れていたとは聞いていたが」
「お梅と云って別嬪だった」
「お岩さんより可かったんだね?」
「第一若くて初心だったよ。子を産みそうな女ではなかった。