Classici giapponesi con furigana
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おんぼうぼり
隠亡堀
国枝 史郎
Leggi 隠亡堀 (おんぼうぼり) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4455 caratteri · 10 schermate
伊右衛門はひどく冷淡に「お梅の顔がお岩に見え、喜兵衛の顔が小仏小平、其奴の顔に見えたのでな、ヒョイと刀を引っこ抜くと、コロコロと首が落ちたってものさ」
「ははあ、其奴ぁお岩さんの怨だ」
「世間でもそんなことを云っていたよ」
「でお前さんは何う思うので?」
「何う思うとは何を何う?」
「幽霊が恐くはありませんかね?」
「それより俺は斯う云い度いのさ。人間の良心というものは、麻痺させようと思えば麻痺出来るとな」
鳥渡直助には解らなかった。
二人は暫く黙っていた。
此処は砂村隠亡堀であった。
一所に土橋がかかっていた。その下に枯蘆が茂っていた。また一所に樋の口があった。枯れた苔が食っ付いていた。
前方はドロンとした堀であった。さあ、確に鰻は居そうだ。
土手の背後に石地蔵があった。鼻が半分欠けていた。慈悲円満にも見えなかった。
土手の向うは田圃であった。
稲村が飛び飛びに立っていた。
それは曇天の夕暮であった。
茶がかった渋い風景であった。
芭蕉好み、そんな景色だ。
伊右衛門の前には釣棹が、三本が所下ろされてあった。
その一本がピクピクと揺れた。
「ああ出来た」
と直助が云った。