Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すずめ

雀

太宰 治

Leggi 雀 (すずめ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6641 caratteri · 14 schermate

Aozora Bunko

やっぱり日本人は、内地から一歩外へ出ると、自己喪失とでもいうのか、ふわりと足が浮いて生活を忘れ、まるで駄目になってしまう宿命を負っているのではないかしら。内地では、二、三時間汽車に乗っても、大旅行の感じでとても気疲れがするのだが、外地では十時間二十時間の汽車旅行なんて、まるで隣村へ行くくらいの気軽なものなのだからね。内地の生活の密度が濃いとでもいうのか、または、その密度の濃い生活とぴったり噛み合う歯車が僕たちの頭脳の中にあって、それで気持の弛緩が無く一時間の旅でもあんなに大仕事のように思われて来るのかね。とにかく、伊東の半箇年は永くて、重苦しく、たっぷりしたものだった。いろいろな思い出がある。その中でも、おそらくこれから十年経っても二十年経っても、いや僕の死ぬまで決して忘れる事が出来ないだろうと思われる妙な事件が一つある。それを話そう。

あれはもう初夏の頃で、そろそろれいの中小都市爆撃がはじまって、熱海伊東の温泉地帯もほどなく焼き払われるだろうということになり、荷物の疎開やら老幼者の避難やらで悲しい活気を呈していた。その頃の事だが、或る日、昼飯後の休憩時間に、僕は療養所の門のところに立ってぼんやり往来を眺めていた。