Classici giapponesi con furigana
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すずめ
雀
Leggi 雀 (すずめ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6641 caratteri · 14 schermate
日でり雨というのか、お天気がよいのに、こまかく金色に光る雨が時々ぱらぱらと降って来る。燕が、道路に腹がすれすれになるくらいに低く飛んで飛び去る。僕はあの時、何を考えていたのだろう。道の向う側の黒い板塀の下に一株の紫陽花が咲いていて、その花がいまでもはっきり頭に残っているところから考えると、或いは僕はそのとき柄にもなく旅愁に似たセンチメンタルな気持でいたのかも知れないね。
「兵隊さん、雨に濡れてしまいますよ。」
療養所のすじむかいに小さい射的場があって、その店の奥で娘さんが顔を赤くして笑っている。ツネちゃんという娘だ。はたちくらいで、母親は無く、父親は療養所の小使いをしている。大柄な色の白い子で、のんきそうにいつも笑って、この東北の女みたいに意地悪く、男にへんに警戒するような様子もなく、伊豆の女はたいていそうらしいけれど、やっぱり、南国の女はいいね、いや、それは余談だが、とにかくツネちゃんは、療養所の兵隊たちの人気者で、その頃、関西弁の若い色男の兵隊がツネちゃんをどうしたのこうしたのという評判があって、僕もさすがにムシャクシャしていた。いや、君のようにそう言ってしまえばおしまいだけど、べつに僕はその時ツネちゃんの事を考えて、日でり雨を浴びて門の傍に佇んでいた、というわけでもないんだよ。