Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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エス・オー・エス・ボーイ

難船小僧

夢野 久作

Leggi 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.169 caratteri · 43 schermate

Aozora Bunko

人間の通れる……荷役の出来る処ならばどこでも構わない。空隙のあらん限り押し込んでしまうので、石炭を積む処は炭庫以外に殆んど無いと云っていい。そこへ今度のアラスカまわりみたいな難航路になると必要以上の石炭を積んでおかないとドンナ海難にぶつかって、どこへ流されるかわからないので、楕円形の船の胴体と、四角い部屋部屋が交錯して作っているあらゆる狭い、人間の通れないような歪み曲った空隙に石炭をギッシリと詰め込まなければならない。その作業の危険さと骨の折れる事といったら、それこそこの世の生き地獄と云っても形容が足りないだろう。この船の料理部屋の背後の空隙なんかへ行く連中は、ドン底の水槽の鉄蓋まで突き抜けた鉄骨の隙間に、一枚の板を渡して在る。左右の壁には火のような蒸気の鉄管が一面にぬたくっているので、通り抜けただけでも呼吸が詰まって眼がまわる上に、手でも足でも触れたら最後大火傷だ。そこに濛々と渦巻く熱気と、石炭の粉の中に、臨時に吊した二百燭光の電球のカーボンだけが、赤い糸か何ぞのようにチラチラとしか見えていない。そこを二三度も石炭籠を担いで往復してから急に上甲板の冷めたい空気に触れると、眼がクラクラして、足がよろめいて、鬼のような荒くれ男が他愛なくブッ倒おれるんだ。