Classici giapponesi con furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Leggi 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.414 caratteri · 289 schermate
八
その日その日のチップも重吉に見せなければならない。或夜婆さんの家で、お客が一人二階に待っているにもかかわらず、来べきはずの女がどういう都合だか、来ずじまいになった時があった。時計を見るともう十一時近くで、今から急に代りの女を呼ぶわけにも行かぬところから、お千代は婆さんの当惑するさまを見兼ねて、拝むようにして頼まれるがまま二階へ上って行った。一度承知すれば後になっていやだとは言切れなくなる。その晩のお客が二、三日たってまた遊びに来る。そして是非この前の女をたのむという事になればなお更断りにくい。お千代は夜ごとに深みへと堕ちて行った。その代り質屋の利息のみならず滞った間代もその月の分だけは奇麗に払えるようになった。
八
お千代は身の秘密が重吉に知られた時にはどういう事件が起るかということをはっきり考えてはいない。このままいつまでも、秘密が保たれるものか否かをもまたよく考えてはいないのである。唯知れずにいてくれるようにと冀うばかりである。秘密を保つ方法と、また秘密が訐かれた場合の事とは予め考える暇がない。それよりはむしろ考える能力がないのである。知れた暁には撲られた揚句、別ればなしになるかも知れない。