Classici giapponesi con furigana
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あめ
雨
織田 作之助
Leggi 雨 (あめ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.261 caratteri · 44 schermate
「あほんだらやな」
と叱られ、それで存分に泣き声を出した。泣くととまらぬいつもの癖で、まるで泣き声で顔を撲られている気がお君はして、
「泣きやまんと、池の中に放りこんだるぞ。かめへんか」
「かめへんわい。放りこんだら着物よごれて、母ちゃんが洗濯せんならんだけや。そないなったら困るやろ」
困るもんかと、豹一を抱きかかえて、お君は池の泥水へどぶんとつけた。豹一は手をばたばたさせ、半分は亀の子を探す手つきだった。引き揚げて家へ連れ戻ると、お君は盥を持ちだした。
八つの時、学校から帰ると、いきなり、仕立ておろしの久留米の綿入を着せられた。筒っぽの袖に鼻をつけると、紺の匂いがぷんぷん鼻の穴にはいってきて、気取り屋の豹一には嬉しい晴着だったが、さすがに有頂天になれなかった。お君はいつになく厚化粧し、その顔を子供心にも美しいと見たが、なぜかうなずけなかった。仕付糸をとってやりながら、
「向う様へ行ったら行儀ようするんやぜ」
お君は常の口調だったが、豹一は何か叱られていると聴いた。
路次の入口に人力車が三台来て並ぶと、母の顔は瞬間面のようになり、子供の分別ながらそれを二十六歳の花嫁の顔と見て、取りつく島もないしょんぼりした気持になった。