Classici giapponesi con furigana
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ゆきとどろ
雪と泥
山本 周五郎
Leggi 雪と泥 (ゆきとどろ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.993 caratteri · 40 schermate
五
五
宵の八時。雪が降っていた。
折之助は葭簀張の小屋の中にいた。そこは日本堤の東南の端で、うしろ(土堤の下)に山谷堀の舟着きがある。昼間は掛茶屋になるのだろう、同じような葭簀張の小屋が、堀のほうを背に五軒並んでいるが、いまはもうしまったあとで、葭簀を廻した上から縄をからげてあり、どの小屋にも人はいなかった。――折之助の入っている茶店は、下の舟着きから登って来る道のとっつきにあり、廻した葭簀に縄がかけてなかった。入口に廻した葭簀の端が捲れていたので、彼はそこから中へ入り、あとをきっちり塞いでおいた。
その堤は新吉原へかよう道に当るので、降りだした雪にもかかわらず、酔って伴れだった男たちや、元気のいい声をあげてとばす駕籠などが、かなり頻繁に小屋の前を通っていった。折之助はそのたびに縁台から立って、息をひそめながら、かれらの話し声にじっと聞きいった。ときには左手で刀の鍔元を握り、葭簀をあけて出ようとするが、まるで手足が自由にならないかのように、がたがたと震えながら立竦み、また縁台へ戻るのであった。
「同じことじゃないか、だらしのない」と暗がりの中で彼は呟いた、「なにをびくびくするんだ、なにが怖ろしいんだ、――ふん、だがそうじゃないさ、ただ無算当にやったってしようがない、それだけの物を持っているという見当がつかなけれ