Classici giapponesi con furigana
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せつれいきじ
雪霊記事
泉 鏡花
Leggi 雪霊記事 (せつれいきじ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6532 caratteri · 14 schermate
四
その時は、四畳半ではありません。が、炉を切った茶の室に通されました。
時に、先客が一人ありまして炉の右に居ました。気高いばかり品のいい年とった尼さんです。失礼ながら、この先客は邪魔でした。それがために、いとど拙い口の、千の一つも、何にも、ものが言われなかったのであります。
「貴女は煙草をあがりますか。」
私はお米さんが、その筒袖の優しい手で、煙管を持つのを視てそう言いました。
お米さんは、控えてちょっと俯向きました。
「何事もわすれ草と申しますな。」
と尼さんが、能の面がものを言うように言いました。
「関さんは、今年三十五におなりですか。」
とお米さんが先へ数えて、私の年を訊ねました。
「三碧のう。」
と尼さんが言いました。
「貴女は?」
「私は一つ上……」
「四緑のう。」
と尼さんがまた言いました。
――略して申すのですが、そこへ案内もなく、ずかずかと入って来て、立状にちょっと私を尻目にかけて、炉の左の座についた一人があります――山伏か、隠者か、と思う風采で、ものの鷹揚な、悪く言えば傲慢な、下手が画に描いた、奥州めぐりの水戸の黄門といった、鼻の隆い、髯の白い、早や七十ばかりの老人でした。