Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きりのばんしゃ

霧の蕃社

中村 地平

Leggi 霧の蕃社 (きりのばんしゃ) di 中村 地平 (なかむらちへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.389 caratteri · 57 schermate

Aozora Bunko

暗い土間にかがみこんで、酒ばかり飲んでくらした。

女に捨てられて、そういう風に懶怠に流れているヒポサツポの姿を見ると、同じい社に住む蕃人たちは心の底から軽蔑してしまった。

尚武的傾向が強く、日本の古武士的気質に通ずるところのある彼らにとっては、失恋して哀愁に生きるなどというのは、にがにがしい、沙汰の限りのことなのである。人々は露骨に彼に軽蔑の流し目をくれるようになった。

女には捨てられ、近隣の人々にはうとんぜられ、ヒポサツポは生きる瀬がなかった。飲む酒は口ににがく、酔えば胸には悲しさがあふれてくるばかりである。運命を新しい方向に転回させたいと焦ったが、まるで穴蔵に落ちこんだように、どうすることもできない。まったく参りきってしまった。

しかし、彼はある時ふっと一つの名案を思いついた。

「そうだ。首伐りをすればいい。首を伐って武勇を示せば、人々の尊敬をかち得るし、あわよくば再び女までも手に入れることが出来るかもしれない」

いったい昔から生蕃が出草(首伐り)するのには、例えば咒のためであるとか、仇敵関係に在る他種族に復讐するためであるとか、狩場の争いのためとか、いろいろな理由がある。