Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいねん

青年

森 鴎外

Leggi 青年 (せいねん) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.670 caratteri · 246 schermate

Aozora Bunko

それは奥さんに気兼をする感じではなくて、シチュアシヨンの感じであった。

いつか見た小間使の外にどんな奉公人がいるか知らないが、もう日が暮れているのだから、知らない顔のものが出て来はしないかと思った。しかしベルが鳴ると、直ぐにあの小間使が出た。奥さんがしづえと呼んでいたっけ。代々の小間使の名かも知れない。おおかた表玄関のお客には、外の女中は出ないのだろう。

ベルが鳴ってから電気を附けたと見えて、玄関の腋の子の硝子にぱっと明りが映ったのであった。

己の顔を見て「おや」と云って、「一寸申し上げて参ります」と、急いで引き返して行った。黙って上がっても好いと云われたことはあるが、そうも出来ない。奥へ行ったかと思うと、直ぐに出て来て、「洋室は煖炉が焚いてございませんから、こちらへ」と云って、赤い緒の上草履を揃えて出した。

廊下を二つ三つ曲がった。曲がり角に電気が附いているきりで、どの部屋も真暗で、しんとしている。

しづえの軽い足音と己の重い足音とが反響をした。短い間ではあったが、夢を見ているような物語めいた感じがした。

突き当りに牡丹に孔雀をかいた、塗縁の杉戸がある。