Classici giapponesi con furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Leggi 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.593 caratteri · 325 schermate
つまり、誰も昇給のことに血眼になる者がいなかった。だから、豹一ひとり知らず知らずそんな風になってしまったのである。いわば、独立の道を切りひらいたのである。
(少しも昇給しないのは侮辱されているようなものだ)
もし、自分の周囲に昇給のことをしょっちゅう考えているものがいたら、彼はてんで昇給など問題にしなかったところである。
豹一はまる一年半、性こりもなく昇給を期待していたのである。(こんどこそ、昇給しなければここを廃めるんだぞ)そう言い聴かせてから、半年もうかうか経ってしまった。もはや豹一は、完膚なきまでに自分を軽蔑していた。余り毎日退屈だったので、彼は「本邦畳史」の記事蒐集に取り掛った。それを連載すれば、たとえ社長と雖も、自分を認めてくれるだろうなどと、ひそかにそれで以て昇給を期待することだけは、さすがに許さなかったが。
自分自身から見離されてしまったので、彼は全く古手拭のような無気力な、ひっそりした人間になってしまった。しかし、二十歳の彼にはしばしば自分を軽蔑するだけの若さは未だ残っていた。それがせめてもであった。そして、ある日、彼は遂にその若さに物を言わせてしまった。