Classici giapponesi con furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Leggi 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.593 caratteri · 325 schermate
弥生座の裏路次で撲り倒された相手を豹一が忘れているわけもなかったのである。豹一は前後の見境もなく、突っ掛って行ったが、
「二度と再びこの店へ来やがると、承知せえへんぞ!」
という道頓堀の勝の鼻声をきいた途端に、意識を失った。
はっと気がつくと、車に乗っていた。傍に多鶴子がいた。いつも豹一が降りることにしていた日本橋筋一丁目はとっくに過ぎていた。
簡単に撲り倒された醜態を見られたかと思うと、豹一はあのまま死んでしまった方が良いと思うぐらいだった。そして誰にも知られていないが、この前にも一度こんなことがあったと思えば、一層身が縮まり、もう多鶴子にも愛想をつかされたと、しょんぼり気が滅入ったが、車が帝塚山へつくと、多鶴子は泊って行けと意外なことを言った。
「でも……」と、さすがに渋ると、多鶴子は、
「そんな体ではひとりで帰れないわ」
まるで豹一の体をかかえんばかりにして、車から降ろした。豹一はもう断る口も利けなかった。じかに触れて来る多鶴子の手や肩や胸のかすかな感触のせいばかりではない。そんな風に病人扱いにされることが、消え入りたいほど恥しかったからである。