Classici giapponesi con furigana
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せいしゅんろん
青春論
Leggi 青春論 (せいしゅんろん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.657 caratteri · 69 schermate
武蔵のみではないのだ。如何なる神の前であれ、神の前に立ったとき何人が晏如たり得ようか。神域とかお寺の境内というものは閑静だから、僕は時々そこを選んで散歩に行くが、一片の信仰もない僕だけれども、本殿とか本堂の前というものは、いつによらず心を騒がせられるものである。祈願せずにいられぬような切ない思いを駆り立てられる。さればといって本当に額ずくだけのひたむきな思いにもなりきれないけれども、こんなに煮えきらないのは怪しからぬことだから、今度から思いきって額ずくことにしようと思って、或日決心して氏神様へでかけて行った。愈々となってお辞儀だけは済ましたけれども、同時に突然僕の身体に起ったギコチのなさにビックリして、やっぱり僕のような奴は、心にどんな切ない祈願の思いが起っても、それはただ心の綾なのだから実際に頭を下げたりしてはいけないのだと諦らめた。
自殺した牧野信一はハイカラな人で、人の前で泥くさい自分をさらけだすことを最も怖れ慎んでいた人だったのに、神前や仏前というと、どうしても素通りの出来ない人で、この時ばかりは誰の目もはばからず、必ずお賽銭をあげて丁寧に拝む人であった。