Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あおきのしゅっきょう

青木の出京

菊池 寛

Leggi 青木の出京 (あおきのしゅっきょう) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.513 caratteri · 43 schermate

Aozora Bunko

が、そうした好意は、雄吉の心のうちに現れた体裁のよい感情であった。雄吉の心の底には、もっと利己的な感情が、厳として存在した。「明日の四時に帰る。しかも北海道へ」と、きいた時、彼は青木の脅威から、すっかり免れたのを感じた。明日の午後四時、今は午後二時頃だからわずかに二十六時間だ。その間だけ、十分に青木を警戒することは、なんでもないことだ。今ここで、手荒い言葉をいって別れるより、ただ二十六時間だけ、彼の相手をしてやればいいのだと思った。否、あるいはその一部分の六時間か七時間か、相手をしてやればいいのだと思った。

「じゃ、ここで立ち話もできないから、ついそこのカフェ××××へでも行こう」と、雄吉は意識して穏やかにいった。が、初めてそうした世間並の挨拶をしたことが、まったく利己的な安心から出ていることを思うと、少なからず気が咎めた。

雄吉が、先に立って、カフェ××××へ入っていくと、そこにいた二、三人の給仕女は、皆クスッと笑った。今出て行ったばかりの雄吉が、五分と経たぬうちに、帰ってきたからである。しかし雄吉はそれに対して、にこりと笑い返すことはできなかった。