Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひめいよきょうじゅのべん

非名誉教授の弁

和辻 哲郎

Leggi 非名誉教授の弁 (ひめいよきょうじゅのべん) di 和辻 哲郎 (わつじてつろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5519 caratteri · 11 schermate

Aozora Bunko

そのころ吉田首相が文教審議会というものを発案し、それにわたくしも引き出されることになって、初めての会合に出席した。席上配られた謄写版刷りの名簿を見ると、わたくしの名に東京大学名誉教授という肩書きがついている。たといわたくしに名誉教授として推薦される資格があったとしても、その手続きには教授会とか評議会とかの審議がいるのであって、通例は退職してから半年以上も後に発令されるのである。退職してから二三か月で名誉教授になっているなどということは、通例はないことである。いわんやわたくしはその資格のないことを知りぬいているのであるから、この名簿が間違いであることは一目してわかった。しかしこの名簿を作成したのは、内閣審議室か文部省か、どちらかである。文部省なら大学のことをよく知っているはずであるから、こんな間違いはしないであろう。しかし内閣の方は、名誉教授の任命などを司どっている場所であるから、そういう辞令が出たかどうかを一層よく知っているはずである。どうもおかしい。この名簿はたぶんあまり名誉教授のことなどを知らない下僚が作ったのであろう。それにしても、内閣で作った文書にこういう間違いがあるのは困る。