Classici giapponesi con furigana
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かばんらしくないかばん
鞄らしくない鞄
海野 十三
Leggi 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.653 caratteri · 73 schermate
そして一札を入れ、人事不省の博士と遺留の鞄とを内容物もろとも引取っていったのであった。
博士を護って、一行は目黒行人坂の博士邸へ入った。
雑用係の川北老夫妻と、研究生小山すみれ嬢とがびっくりして博士の帰邸を迎えた。
目賀野の指図で、臼井は出迎えた人々を掴えて話をした。
「わしは存じて居りましたでがす」と川北老はいった。「先生さまが変装なすって、そっとお出懸けになるところを確かに見て居りました。はい、トランクをお持ちになっていましたなあ。おお、このトランクに違いありません。色といい形といい大きさといい……。先生さまは外出なされるとき必ず若い男になってお出懸けなさるんで、これは昨夜にかぎったことではございません。そのこみ入った理由はわし如き者に分ろうはずはございません。お出懸け先でございますか、それは全く存じません。先生さまは、爺や、これからどこへ行ってくるぞなどと仰有るお方じゃございませんもんな。……坂をのぼって目黒駅の方へお出でなさったことだけは間違いねえでがす」
博士の昨夜の行動について喋ったのはこの川北老だけであった。他の妻君のお綱婆さんも、小山研究嬢も、共になんにも語らなかった。