Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.621 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

「おれはこの話を聴いた最初から、船頭どもが同腹でなければ出来ぬ仕事だと思っていた。そこでいろいろかんがえて見ると、遠島船にはむかしから弱い尻がある。この急所をおして、いやだと言うなら訴えでると言やア船頭を船からおろすぐらいのことは雑作なく出来そうだ、とそう考えた。それで金兵衛の船頭宿でお静だけが悲しそうな顔もしていないのを見たとたん、十一人のうち、少なくとも弥之助だけは江戸にいるという見こみがついたわけだ」

「そううかがえば、いかにもそう。……それで、へっついにかけた釜のめしが煮えかけていたというのはどういうのです」

「それだって煎じつめればわけはない。へっついの火皿を二段に組んで、上の段には附木と薪をのせ、中の段には、ちょうど一日か一日半もえるだけの硫黄の塊に火をつけてのせ、下の段には、焔硝と炭粉をつめておく。硫黄が燃えきって火皿の目から下へ落ちると、その火が焔硝にうつって、たちまち薪に燃えつくという仕掛けだ」

と言って、ニヤリと笑い、

「これは、おれの智慧でもなければ、伏鐘の智慧でもない。信玄の『陣中遠狼煙の法』といって、うかつには行けない山の頂上などに仕掛けた狼煙を、こちらが思うころにひとりでに挙げさせようというとき、むかしさんざ使われていた古い術なんだ」