Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.712 caratteri · 29 schermate
……この世の中に理外の理というものがあれば、まさに、こういうのを言うのだろう。
検視の役人が来るのを待つあいだ、五人は階下の小座敷にあつまって顔つきあわして坐っていた。
世故にもたけ、そうとう機才のある連中ばかりだから、たいていのことならばそれぞれ至当の意見もあるべきところだが、この奇妙な出来事だけは、なんとも思惟の下しようもなく、ただただ合点のゆかぬことだと言いあうばかりだった。
雨がやんで、檐に月影がさす。
鼻を突きあわせて、ムンズリと坐ってばかりいてもしょうがないから、酒を運ばせてしめやかに飲みだしたが、さっきの今だから、座が浮き立つはずもない。いわんや、二階には佐原屋の無惨な死体がそのままに置かれてある。
それに、一同の心の中には共同の不安というようなものが重苦しくたぐまっていて、考えがとかくそちらへばかり行く。互いに顔を見られぬように用心しながら、黙々と盃をふくんでいたが、そのうちに日進堂が思いきったようにズカリと口を切った。
「……私ひとりの考えではあるまい、みんなも、肚ではそう思っているのだろう。こりゃア、たしかに攘夷派の連中の仕業だと思うんだが、みなさんのご意見はどうです。