Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.435 caratteri · 27 schermate
孫子の代までの語り草、つくづくとお眼にとめごろうじませ。頭より尾までの長さは六間半と一尺二寸。胴のまわりは二十六尺六寸、重さは測って千五百貫。これを譬えに引きますなら、天王寺の釣鐘の三つ分にあたる。……さて、これより鯨の潮ふきをご覧に入れまするが、まずお聞きくださりませ、この鯨についての哀れな物語。心なき海鯨にもこの愛情。子の愛に惹かされるのは人間ばかりのことではない。焼野の雉子、夜の鶴、錆田の雀は子をかばう。いわんや、鯨は魚の長。愛情の深さはまたなかなか。……さて、皆々さま、これなるは、突鯨の寄鯨の流鯨のとそんな有りふれた鯨ではござりませぬ。奥州は仙台金華山港町というところに住む漁師の茂松という方、去る月の十二日に沖に漁にまいりましたところ、波のあいだになにやら黝いものが見えますゆえ、なんであろうと舷を寄せ、仔細にこれを眺めますれば、それは生れたばかりの鯨の子。珍らしきものよと拾いとり、さて、船を返そうといたしますれば、たちまち後のかたにあがる鯨の潮。母なる鯨が浮かびあがり、小さなる眼に涙を泛かべ、その子返してと追うて来る。茂松どのは哀れをもよおし、いったんは返そうと思いましたなれど、長々つづく浦の不漁。