Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.435 caratteri · 27 schermate
「鯨を、……どうして持って行った」
「えへへ、それがわからねえンで」
「じゃ、本当の話なンだな」
「ええ、ですから……」
「よし、行って見よう」
広小路から垢離場。
小屋の前にはたいへんな人だかり。
「けさがた、鯨が盗まれてしまったンだそうで」
「いいえ、そうじゃありません。鯨が泳いで逃げたってことです」
勝手なことを言いながらワイワイ騒いでいる。
ひょろ松は、人垣を押しわけながら小屋の中へ入って行くと、若太夫から奥役、まるで腑ぬけのようになって腕組みをしたままぼんやりと飾場の砂の上に突っ立っている。
「鯨が盗まれたそうだな」
奥役は、泣き出しそうな顔で、ピョコンとお辞儀をしてから、
「ごらんの通りの始末なンで」
「変ったことをする奴があればあるもの。鯨盗人なんてえのはまだ話にも聞いたことがねえ。いっそ、とぼけた話だぜ」
「とぼけた話どころか、あっしどものほうは生き死にの境なンで。櫓主が五百両も出した代物を、たった二日あけただけで跡形なしになってしまっちゃ、どうにもアガキがとれやしません」
ひょろ松は、ズイと菰掛のほうへ寄って行って、掘立柱の根方のところをひとわたり調べまわっていたが、また皆のところへ戻って来て、