Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.984 caratteri · 28 schermate
京屋のひろい張場の裏の地面を買いとって、そこへ三階建の普請をして母屋と鍵の手につないでしまった。
今までの南がわだけでもたくさんだったのに、こんなふうに東がわの地ざかいへ見あげるような三階建をつくられたので、東と南をふさがれることになり、京屋の張場はいちにちじゅう陽が当らない。
紺屋は張場だけで持っているようなものだから、ここへ陽が当らなかったらまるっきり商売にならない。
折れてくるか怒鳴りこんで来るかと待ちかまえていたが、膿んだとも潰れたとも、なんの音沙汰もない。藤五郎のほうでは拍子ぬけがして呆気にとられる始末だった。
どうするだろうと様子をうかがっていると、三四人残っていた職人をみな出してしまい、ガランとした大きな家でかみさんとふたりっきりで、むかし流行った友禅扇を細々とつくりはじめた。こんなことまでしても腰をすえようとするそのしかたがあまり依怙地なので、『大清』のほうでも癪にさわったが、さりとてどうすることも出来ない。
こんなふうに睨みあったまま、一年ばかりたった。
吉兵衛の家内のおもんは、もとは仲町の羽織芸者で、吉兵衛と好きあって一緒になった仲だが、なんにしても吉兵衛の甲斐性ないのと陰気くさいのにすっかり愛想をつかし、急にむかしの生活が恋しくなってきた。