Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.550 caratteri · 27 schermate
あっけに取られて腑ぬけのようになってぼんやり見あげている顔々を尻目にかけ、引きあけた木戸から雲に乗るような足どりでスラスラと入って来て、爪さきのそる白玉のような手で唐津焼の徳利を取りあげるとスラリと立ったまま、
「酌をしてとらする」
六平をはじめ、五人のももんがあ、うわッ、と、もろともに床几からころげおち、
「と、と、飛んでもございませんこと……」
「ど、ど、どうつかまつりまして」
加代姫は、片額に翳がさすような、なんとも凄味のある薄笑いをチラと浮かべて、
「遠慮をしないでもいいのだよ。……お出し。……盃を出せ、酌をしてとらせる」
顎十郎は、とど助の膝をつき、
「とど助さん、こりゃア凄いことになりました。……逃げましょう。こんなところでマゴマゴしていたら、えらいことになります」
とど助は、眼玉をギョロギョロさせて、
「いかにも! 逃げまッしょう、とてもかなわん」
「いいですか。じャ、ひい、ふう、みいで驀地に飛びだすんですぜ」
「心得もうした。じゃア、掛け声のほうを……」
ひい、ふう、みい……まるで暗闇坂でひとつ眼小僧にでもあったときのよう、大きな図体をしたふたりが、わあッ、と声をあげながら一目散に居酒屋から逃げだした。