Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.527 caratteri · 23 schermate
「やア、風来坊が舞いこんできた。……これ、阿古十郎、貴様が中間部屋にしけこんでいるうちに、だいぶ世の中が変ったぞ。突っ立っていないで、ここへ坐れ。手柄話をきかせてやる」
顎十郎は、のんびりと顔をひきのばして、
「それは、近ごろ耳よりな話ですな。ちょうど、水の手が切れかかっていたところだから、手前にとってはもっけのさいわい」
と、いいながら、叔父のそばに大あぐらをかくと、
「叔父上、それはいったいどんな話です。まさか、堺屋の件ではありますまいな」
庄兵衛は、おどろいて、
「貴様、それを、どこで耳に入れた。この件はまだ世間にはけっして洩れない筈だが……」
「と思うのが、たいへんなまちがい。どういうわけか、この阿古十郎の耳にはちゃんと届いております。……上手の手から洩れると言いますが、それは、この辺のことでしょう」
ひょろ松は膝をゆり出し、
「阿古十郎さん、こんどくらい、気持のいいことはごぜえませんでした。……実は今月の晦日に、伝馬町の堺屋から虎列剌が出たんです。……主人の嘉兵衛と一番番頭の鶴吉と姉娘の三人がひどい吐潟下痢をして死んでしまった。ちょうど月代りの最後の日で、呉服橋からは、せんぶりの千太が高慢ちきな顔をして出張って来て、ひと目見るなり、こりゃア、虎列剌だ、まぎれはねえ、で引きとって行った。