Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.604 caratteri · 28 schermate
赭ら顔の三白眼で、お不動様と鬼瓦をこきまぜたような苦虫面。ガミガミいうためにこの世に生れて来たような老人だが、これで内実はひどく人がいい。お天気で、単純でおだてに乗りやすく、顎十郎づれに、いつもうまうましてやられて、そのたびにすくなからぬ小遣をせしめられる。
叔父を叔父とも思わぬ横着千万な甥が忌々しくて癇にさわってならぬのだが、そのくせ、なんだか無茶苦茶に可愛い。
どこかとぼけた、悠々迫らぬところがあって、なかなか見どころのあるようだと思っているんだが、例の強情我慢で、そんなこころはけぶりにも見せぬ。顔さえ見れば眼のかたきにして口やかましくがなりつける。
ところで、顎十郎のほうはちゃんとそれを見抜いている。面は渋いが心は甘い、もちゃげてさえ置けばこちらの言いなりと、てんからなめてかかっている。
窓框に頬杖をついて、夕顔なりの長大な顎を掌でささえ、ひとを小馬鹿にしたようなニヤニヤ笑いをしながら、
「いよウ、これは、ようこそ御入来」
庄兵衛は、たちまち眼を三角にして、
「ようこそご入来とは緩怠至極。……これ貴様、このおれをなんだと心得ておる。やせても枯れても……」