Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.819 caratteri · 26 schermate
とど助のほうは、これはどう見たって浪人くずれ。それも、なみの武士じゃない。いわば、出来そくない。
身の丈五尺九寸もある大入道の大眼玉。容貌いたって魁偉で、ちょうど水滸伝の絵にある花和尚魯智深のような面がまえ。
それだけならまだいいが、アコ長のほうはせいぜい五尺五六寸の中背だから、このふたりが差しにないということになると、駕籠はいきおい斜め宙吊りとあいなり、客はツンのめったままで行くか、あおのけになって揺られるか、いずれにしても、普通には行かない。これじゃ、だれだって恐れをなして逃げ出してしまう。
アコ長は、水ッ鼻をすすりながら、マジマジととど助の顔を眺めていたが、いまいましそうに舌打ちをして、
「……思うにですな、とど助さん、今日のあぶれは、こりゃアあんたのせいなんですぜ」
「これは聞きずてならん。なんでわしのせいか」
「だって、そうじゃありませんか。わたしとあんたがこの商売をはじめる当初から、あんたは客呼びをしない約束になっていたはずです」
「そうだったのう」
「そうだったのう、じゃありませんよ。あんたのような、見あげるような入道が、大眼玉をむいて、おいこらア、駕籠にのれ、安くまいるぞ、じゃ、だれだって逃げ出してしまいます」